ドリー夢小説








終わりを告げたインターハイ。


静かな帰りの新幹線。


私の隣に座る桜木君は・・・・。


みんなと同じように黙ったまま。


窓から、真っ暗な空を見つめていた。













悔しげに、桜木君は左手を握りしめていた。


誰よりも、悔しくて悲しかったのは・・・・。


やっぱり、試合に出ることを許されなかった桜木君なのだろう・・・・。


悔しさで握りしめられた、その拳は。


赤い色に変色していた。
























私はマネージャーでバスケット経験者ではない。


ただ、中学の頃から知り合いの彩子さんに誘われてマネージャーになった。


バスケットが好きなわけでも、嫌いなわけでもない。


それに、これと言って趣味も夢中になれることもない。






だから、それほど苦しい物だとは思わなかった。


大好きな事が・・・・。


出来なくなるかもしれないという事が・・・・。




































君 は 本のバ ス ケ ッ ト マ ン























静かな、静かな帰りの新幹線。


広島に向かう時の新幹線の中とは比べ物にならない静けさ。


そう、私の隣に座る彼も・・・・。


桜木君も静かに、窓の外を見つめていた。


桜木君の見つめる窓からの空は・・・・。


夜だと言うのに、雲が厚く、星一つ見ることさえも許されない。


そんな空を見て、彼は何を思うのだろう・・・・。









































少しだけ桜木君の事を心配に思い、暗いなった私の耳に届くのは。


みんなの、静かな寝息。


でも、相変わらず・・・・。


私の隣にいる桜木君は、窓の外を見つめたまま。










悔しげに、桜木君は左手を握りしめていた。


誰よりも、悔しくて悲しかったのは・・・・。


やっぱり、桜木君なのだろう・・・・。


悔しさで握りしめられた、その拳は。


赤い色に変色していた。























「桜木君!やめて!」






赤く変色する、桜木君の左手を。


私は自分の両手で包み込んだ。






・・・・さん?」


「桜木君・・・・やめて・・・・。」






愛和学院にボロ負けし、終わりを告げた湘北の夏。


コートの上に立つ誰もが悔しがっていた。


ベンチにいる誰もが悔しがっていた。



でも、一番悔しかったのは・・・・。


最後の夏が終わった赤木さんでも木暮さんでも三井さんでもなくて・・・・。


私の隣で、切なそうな顔をしている桜木君ではないだろうか・・・・。









「すいません・・・・。」


「え?」










唐突な、桜木君からの謝罪。


私は、何を誤られているのかサッパリ解らなかった。











「約束、守れなくて・・・・。」


「約・・・・束?」



「この天才が、さんに優勝を捧げるって約束したのに・・・・。」


「そんな・・・・気にしないでよ。それに、山王戦!いい試合だったよ。」


「でも・・・・。」



「それに、来年もあるじゃん!来年、頑張ろう!」











辛そうな顔の桜木君を見るのが、とても辛くて。


私は、少しでも励まそうと必死に明るさを装った。


でも、本当は・・・・。


明るく振る舞えるほど、私は強くなかった。


大好きな桜木君の辛そうな姿を見ている事が、辛くて・・・・。


泣き出してしまいそうだった・・・・。


でも、私が泣いてしまったら・・・・。


余計に桜木君を不安にしてしまう。











「でも・・・・。」










桜木君が下を向いて言う。


きっと、桜木君は今。


本当に辛そうな顔をしているに違いない・・・・。









































「来年も・・・・バスケできるんすかね・・・・。」









































「え?」


「俺、もうバスケできないんじゃないかって思うんです。」


「どうして?」


「彩子さんに言われたんです。選手生命に関わるって・・・・。」


「彩子さんに?」


「バスケ、できなくなると思うと・・・・どうしようもなく怖くて・・・・。」


「桜木君・・・・。」











下を向いたまま、桜木君は顔を上げてくれない。


赤い色の髪も・・・・。


今は元気なく見える。











震える声と身体。


桜木君は、本当にバスケットが好きなんだ・・・・。


「約・・・・束?」 好きなことができなることは・・・・。


とても苦しいものなんだ・・・・。









































私は、下を向いたままの桜木君の身体に触れた。


痛めた、背中に・・・・。


触れた背中は、大きくて広い・・・・。











「大丈夫だよ。絶対に治るよ・・・・。」











バスケができなくなる恐怖からなのか・・・・。


桜木君の目から零れた何かが。


新幹線の床にシミを作る。


それにつられて・・・・。


止まったはずの私の涙も・・・・。


溢れ出していた。









































「リハビリとか・・・・辛いこと、いっぱいあるかもしれないけど。」











「桜木君は、一人じゃないから!」











「支えてくれる、沢山の仲間がいるから!」











「・・・・私もいるし・・・・。」









































「私はいつでも、桜木君の側にいるから。」


さん・・・・。」


「やっと、顔・・・・上げてくれたね。駄目だよ、下ばっか向いていたら。桜木君は・・・・天才バスケットマンでしょ?」











悔しさで、変色していた桜木君の拳の色は。


元の色も戻っていた。


この拳の色の様に・・・・。


きっと桜木君の背中も元に戻るはず。









































「そうですね!俺は天才ですから。」











いつもの、自信で満ちあふれる笑顔が桜木君が言った。


勿論、心の中には沢山の不安や寂しさがあるだろう。


でも、その不安も私達二人なら・・・・。


きっと乗り越えられるよね?


どんなに桜木君が辛い時でも・・・・。


私は側にいるから。









































さん?」


「ん?何?」



「来年こそは・・・・この天才バスケットマン桜木花道が・・・・インターハイ優勝を
さんに捧げます。」











厚い雲で隠れていた沢山の星達。


次第に雲は薄くなり、星達が姿を現した。


まるで・・・・。


笑顔を取り戻した私達を見つめているように。









































君は本当のバスケットマンだね。


君なら、どんな辛いリハビリも乗り越えられる。


でも、時々・・・・。


不安になったり、苦しくなったときには。


自分を責めないで、私を頼ってね・・・・。


私は、君のバスケットする姿に、本当に元気を貰っているから。









































*後書き*

桜井わかな様に相互感謝夢として捧げます。

こんなサイトと相互してくださったわかな様に本当に感謝します。

もう、菓子折持って、ご自宅に伺うべきですね。

こんな駄文なんかじゃお礼にならない・・・・(笑)


こんな流華ですが、これからよろしくお願いします。




流華さまからスバラシイ頂き物です☆

もう感動もんですよ…

鼻血(?!)と涙で顔が///

とにかく素敵な花道夢をどうもありがとうございました!!

これからよろしくお願いします☆